タイムスリップ《天狼院通信》
先日、前にいた書店で店長をしていた際に働いてくれていた子が天狼院に来てくれた。当時はあどけない大学生だったのに、25歳の綺麗な女性に成長していた。大学生が25歳になるということは、あれからもう5年以上が経っていることになる。
当時はまだ雇われ店長に過ぎずに、起業の準備をしていた頃で、今のように編集や販売戦略などといった本の仕事にも携わっていなかった。ただ、もうしばらく小説を書くのは辞めようと密かに決意していたころのことだった。
おそらく、今と変わらず、そのときも夢を語っていたんだろうと思う。自分ではそのほとんどを覚えていない。
久々にあったその彼女が思いがけないことを言う。
「あの時から、天狼院のことを言っていましたよね」
意外だった。はっきりとは覚えていなかったが、言われてみれば、そのときから「天狼院書店」という名前も決まっていた。
「それで、なんで僕が”天狼院”って名前にしたか覚えてる? 僕はそのとき、なんて言ってたかな?」
メディアの皆様にもよく聞かれることだが、本当に、どうして天狼院書店という名前にしたのか、正確には覚えていないのだ。
わかりません、と彼女は首を横に振る。
「でも、こう言っていたのは覚えています。小説家やアーティストになりたい人を応援する会社を創りたいって。新しい才能を応援したいって」
そのとき、一緒に店にいたなっちゃんと顔を見合わせる。
まさに、そんな雑誌を創った。
それが雑誌『READING LIFE』だ。
『READING LIFE』では「川代ノート」の 川代 紗生や、京大生の 三宅 香帆が小説を書いている。僕は彼女らは本当に小説家になってほしいと願っている。
雑誌『READING LIFE』では、川代や三宅ばかりではなく、様々な才能が、その光と兆しを混在させながら圧縮されて込められている。
小説『蔦屋』を書いた若き才能、谷津矢車さんもそうだし、その装丁画を描いた、六七質さんもそうだ。
フォト部の先生もしてもらっている 松本 茜さんは、これから写真家として必ず大成すると僕は信じている。
プロカメラマンの 榊 智朗さんにももっともっと活躍してもらいたいと願っている。
劇団天狼院では 本山 由乃を演出家として成功させたいと考えているし、READING LIFEでもモデルをしてくれた 石神悠紀にも、いずれ何らかのかたちで大きく世に出てもらいたいと願っている。
そして、何より、天狼院と天狼院に関わるスタッフたちにも大いに活躍してもらいたいと思っている。彼ら一人ひとりに活躍の場を見つけてやりたいと思っている。
図らずも、天狼院はそういう場所になっている。
いや、彼女の言葉が正しいとすれば、僕は図っていたのだ。そういう場所になるようにと、図り続けていたのだろう。
あまりに図り続けていたので、それが普通になって、もはや潜在意識にまで落とし込まれていて、言われないと思い出せないレベルになった。
ただ、頭の表層では言葉にはされなくなっていたが、僕はしっかり「わかって」いた。そして、その想いを実現しようと動いていた。
おそらく、これからも、天狼院には可能性の兆しを背中にかすかなオーラとして背負いながら、様々な才能たちが引き寄せられるようにして訪れるのだろう。
そして、数年後、数十年後の未来に振り返れば、この時が始まりだったと思える一言を、僕に向かって言うのだ。
「ここで働かせてもらえませんか」
もちろん、甘い夢を思い描いているだけではそれぞれの可能性の兆しが、かたちを得ることはないだろう。
現実の世界で、夢を描くためには、ある種の「力」がどうしても必要となる。そうでなければ、兆しは兆しのままで消えてなくなってしまう。
「若いときはそんなことを想い描いていたね」
と年寄りみたいに微笑む羽目になる。
もちろん、それはそれでいいのだろうと思う。
人は、それぞれ、想い描く自由は違うのだ。
自分に適った自由を人生において描けばいいのだろうと思う。
けれども、天狼院に来る人たちは、もっと貪欲な自由を思い描いているのだろう。翼を得て、空に飛び立つような自由を、おそらく、胸に思い描いているのだろうと思う。
一人でも、多くの飛翔を助けるために、天狼院は「力」を持たねばならない。ビジネスとして成功を収めねばならない。そのためには戦うことも必要だろうし、誰よりも努力しなければならないのだろうと思う。
想像を絶する努力の先にしか、想い描く未来はない。
天狼院がやっていることは、サークル活動でも、学芸会でも、高校の文化祭でもない。
リアルなビジネスだ。本当の夢を育むのは、リアルなビジネス以外にない。そして、ビジネスとして強靭でなければ、飛翔を助けることなどできない。
そのためのルールを幾つか設けたいと思う。
天狼院がビジネスとしての強靭さを手に入れて、他に干渉されず屈服しないある種のウォールが形成されるとすれば、そこに才能を開花させるための空間が現出されるだろうと思っている。
そうすれば、女優を目指す才能は、好きでもないホステスをすることはなく、俳優を目指す才能は、好きではもない清掃業をする必要もなく、小説家を目指す才能は、好きでもないコンビニのバイトで人生を摩耗する必要はなくなる。
天狼院をそういう空間にしたいと真剣に思っている。
天狼院は、天狼院として存在し続ける限り、天狼院が認める才能や作品を全力で応援して行こうと思う。
天狼院に、努力を厭わない才能の兆しが、これからも集まってくることを楽しみにしている。
そして、何より、僕自身が誰よりも努力し続けることを約束する。
僕が天狼院を飛翔させて見せようと思う。
久しぶりに会った彼女がもたらしてくれたのは、過去であり、未来だった。あの当時と今とで、自分が少しも変わっていないことに、なぜかとても安心した。
【雑誌『READING LIFE』は通販でお買い求め頂けます】
天狼院が本気モードで創った雑誌『READING LIFE』は通販でもお買い求め頂けます。PayPalでの決済完了が受付完了となります。
通信販売の場合、送料・手数料として500円別途頂きますが、その代わりに天狼院書店でご利用頂ける「コーヒーチケット(360円相当)」をおつけしますので、東京に来る際に、ぜひ、天狼院でご利用頂ければと思います。
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《通信販売》
雑誌『READING LIFE創刊号』2,000円+税
送料・手数料 500円(*360円相当コーヒーチケットつき)
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