ネトウヨおばちゃん《天狼院通信》
つい先ほどのことでございます。明日公開用のページをInDesignで作って、ワードブレスに貼ってというのを繰り返し、なんとかかたちになったなと思ったら、すでに夕方でございます。
お昼からノンストップでやってたのかとちょっと愕然とし、ま、頭でも刈ってくるかとQBに行った後に、どうにも脳が糖分をよこせとうるさいので、西武の地下一階のたい焼き屋さんに並んで、たい焼きを購入、案内ちかくのベンチのような席に、一人分の隙間を見つけたんで、ほっと座って、これからまたページを構築して、朝までに販売サイトも完成させて、告知文を作って、明日の17:00までに脚本も全部直して、あ、今日も徹夜かな、なぞと考えながら、たい焼きを食べていると、
「あんた、そんなにモグモグ早く食べるとつっかえるわよ」
…
と、笑いながら隣の人に肩を叩かれる。
みると、見知らぬおばちゃんである。赤というかピンクというかのマフラーを首にして、サングラス的なものをもち、帽子をかぶっている。
うん、西武にいそうなおばちゃんである。
たぶん、僕は相当にぼおっとして、しかも、死ぬほどうまそうにたい焼きを食べていたのだろう。おばちゃん、やけにウケている。これでもかっていうくらいにウケている。
ま、確かに、刈りたてのほぼスキンヘッドにたい焼きを至極うまそうに食べていればウケるか、とも思ったけど、いや、そこまでウケるかな、と思いつつ、とりあえず、
「ああ、ありがとうございます」
と、穏便に答えておく。
「チョッコレート、チョッコレートってうるさいわね!」
と、おばちゃん。
たしかに、言われてみると、チョッコレート、チョッコレートとうるさい。
「そうですね、たい焼きでもいいですよね」
と、言うと、またおばちゃん、超ウケて、そうね、と肩を叩いてくる。
ま、案外、筋肉あるから僕はびくともしない。
「池袋って、中国人とか韓国人とか多いわよね」
「あ、たしかにそうですね。いっぱいいますね」
と、僕はまた注意されると困るから、たい焼きをゆっくり食べながら言う。
「旧正月か、何かで来ているらしいのよ。こっちで電化製品とか化粧品とか買って、あっちで高く売るんだそうよ」
「あ、なるほど。そうなんですねー」
と、やり取りしていると、『フォレスト・ガンプ』のフォレストになった気分になってくる。フォレストはバス停でバスを待っているときに、いろんな人に話しかけられていた。彼は確か、たい焼きではなくて、チョコレートの箱を持っていた。
おばちゃんはなおも続ける。
「駒込だっかな、馬場だったかのマンションに、韓国人を入れてくれって不動産屋が来たんだけどね、やっぱりマナーとか良くないからやめといたのよ」
この言葉で、3つのことが一気に明らかになる。
1.この年代によくあるが、おばちゃん、ネトウヨ的に韓国の人に偏見をもっている。
2.おばちゃん、駒込だったか、馬場だったかっていいっぷりからして、マンションとかたくさん持っている人だ。
3.おばちゃん、金持ちだから暇で西部に買い物に来て、高いものを買って、のんびり地下食品売り場でくつろいでいる。
僕は韓国人の友人もいるし、もともと少女時代とかAOAとか昔から好きな韓流なので、
「そうなんですねー」
と受け流している。受け流しながら、たしかにこの年代の人には、こういったネトウヨ的な人って結構いるなーと思う。別にこの人も悪い人じゃないんだけど(ま、初対面の僕を叩くけど)、当然のようにネトウヨ的な人がいるんだな、と何の感慨もなく思う。
ここで、
「そういうのって、偏見だと思います! 僕の友人は・・・・・・」
なぞと始めるくらいに僕は暇じゃない。始めたところで、きっとこの人は一生変わらない。それに、僕には概ねいい人だ。
だんだん、ネトウヨおばちゃんも飽きてきたので、
「あ、いっけね! 時間だ!」
と、腕時計を出して言う。
「なに? 彼女?」
「いや、違いますよ。これから仕事です」
「あら、可愛そうね」
と、心底可哀想な顔をされる。そう、ネトウヨおばちゃんは、どんな苦労をしてきたか知らないが、マンションとかたくさん持っていて、今は苦労がなさそうだ。
それに引き換え、僕ときたら、休みなく働いている。
結局はネトウヨとか暇だからできるんだな、と思いつつ、あれ?そういえば、なんで「奥さん?」じゃなくて「彼女?」って聞かれたんだろうと、39番出口に至る地下道を歩きながら思う。
だよな、と可笑しくなる。
この時間に、ひとり、百貨店の地下食品売り場でぼおっとたい焼きを食べている「夫」や「父親」なんていないだろう。
おばちゃん、見る目あるなー、なぞと思いつつ、ヴェローチェで仕事再開でございます。
全開バリバリのフルスロットルで参りましょう。
TEL:03-6914-3618
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