【京都天狼院通信Vol6:29歳「どきどき」体験~15年ぶりに飛行機に乗ってみて気がついたこと~】
記事:池田瑠里子(チーム天狼院)
人は、何か初めての経験をする時、楽しいことをする時、
心臓の音が耳元でなってるのではないかと思うくらい、「どきどき」するもの。
初めて、知らない街にいく時。
初めて、引っ越す時。
初めて、一人暮らしをする時。
初めて、誰かとキスする時。
あのどきどきは、なんだか特別で、忘れられないものです。
数日前、私も、29歳にして、その「どきどき」を、久しぶりに味わいました。
なんと、15年ぶりくらいに、飛行機に乗る(それも一人で)、という経験をしたのです!!
え、飛行機???? と思った方。そうなのです。
私池田、海外旅行は中学1年生の時のオーストリアのみ。
小学生の頃沖縄や長崎に旅行に行ったことはあれど、
オーストリア以来、一度もそもそも飛行機に乗ったことがなかったのです!!
思い返せば、あまり飛行機にいい思い出はなく。
沖縄に行った時も、オーストリアに行った時も、離着陸で酔ってしまって、
酔い止めを飲んで、「気持ち悪い……」「もう乗りたくない……」と、一人ぐでっとしていた思い出が。
(池田は大変三半規管が弱く、大阪のUSJは2回行って、乗り物に乗って酔い、2回とも救護室行きになってただただ吐きまくっていたという、伝説の女です)
そんなこんなで、飛行機は小さいトラウマのようになり、飛行機に乗るという選択肢をあえて避けてきた、なるべく陸路で移動してきた、といっても過言ではありません。
それが、所用で沖縄に行く必要ができ、15年近く避け続けていた飛行機に乗ることに……。
(まさか沖縄まで船で行くわけにも行きませんし)(むしろ船の方が酔いそうですし)
さらに一人で沖縄まで行かないとということで、チケットを取る、空港に行く、チェックイン手続きをする、そして搭乗という、初めて続きの状態に……。
いやー大変でした!
まずチケットの取り方がわからない!
そもそもチケットが「チケット」という現物ではないことが衝撃……。
ちゃんとこれは私の飛行機は取れているのか?! 時間とか間違ってないよね?! と心配すぎて5回くらいスマホの画面を見直しました。
さらに、空港までたどり着けるのかも大変不安!
関西国際空港の便を取ったのですが、そこまでは乗り換え案内でなんとかなるといっても、
調べたら空港はとっても広い!!(当たり前)
ターミナルとか、そういったこともよくわからず、
これ方向音痴の私は絶対迷子になると、2時間以上前に空港につくように始発で出発を決定。
そして、いざ当日。新幹線のノリでばばばっと手荷物をまとめて持っていき、はたと電車の中で気がつきました。
そういえば、機内持っていける手荷物、限られているのでは……?!
なんか社長の三浦が、「機内に持っていけるギリギリを攻めた鞄」とかなんとか言っていた気が……。
慌てて調べたら私が乗るpeachは、手荷物2点まで、合計7キロ以内であることが判明……。
その時点で私の手荷物は3つ。
電車内で絶望した瞬間でありました……。
(ちなみに、頑張って2つにまとめて、ペットボトルの飲み物とか、カメラとか、ケータイを全部カバンに入れて、空港の測りで律儀に測ったら7.8キロ。
たった0.8キロのためにこれは一つ手荷物預けないとかと、半ベソになりながらお土産だけを取り出して手荷物預け所に持っていったところ、逆にお姉さんがびっくり!
「その荷物の量で、そのお土産だけ預けるんですか?! 預ける必要あります??!」と言われ、「カメラとかスマホとかポッケに入れて800グラム減らせば大丈夫です!! 頑張ってください!!!」と言われる始末……。最終的に頑張って800グラム自分に身につけて機内に乗り込みました……本当にご迷惑おかけしました……。)
そんなこんなで、ずーっと「どきどき」続きだったのですが、
なによりも「どきどき」したのが、飛行機に向かって搭乗口から通路を歩いて行く瞬間!
ゴーっという機体のくぐもった音。足元からは揺れが伝わってくる。道すがら横を見ると、出発前なのか、メンテナンス中なのか、別の飛行機がドーンと目の前にあったりする。
気持ちがハイになっていく感覚。
なんだか「飛行機中毒」になりそうな、「これから飛行機に乗って、違う土地に行くんだ!」そういう気持ちに一気になるその空間!
ほとんど初めて乗る飛行機のはずなのに、なぜかデジャブのように、この感覚知ってると思ったのです。
そう、これって、ディズニーランドだ、と。
飛行機に15年ぶりに乗る私が一番思ったこと、
それは、飛行機とも旅とも全く関係ない、「ディズニーランドの演出力の凄さ」でした。
実は私は大のディズニー好きで、大学時代3年半ディズニーランドでポップコーンの販売のお姉さんをやっていて、さらに年間パスポートも持っていたほど。
子供の頃からディズニーランドは何度も何度も足を運んでいました。
大好きなアトラクションはたくさんありますが、
一番印象的なのは「スペースマウンテン」。
それこそ三半規管が弱すぎて私は乗るとすぐに気持ち悪くなってしまうのですが、
暗闇の中、星がキラキラしてる中を、猛スピードで走るジェットコースターは爽快!
お姉さんたちの制服もカッコ良くて、自分も着てみたいなと密かに憧れでもあり。
ディズニーランドに行くと必ず乗るアトラクションの一つです。
でも、気がついたのです。
思い返してみると、私は実際にジェットコースターを乗っている時の記憶よりも、待っている時の記憶の方が鮮明なのです。
ちょっと薄暗い中、ジェットコースターが走る音がゴゴゴと聞こえて、管制官役のアナウンスが絶えず流れていて、もうすぐ乗るぞという乗り場の近くには、乗る(と想定されている)機体の模型が置いてある……。
その時に、「もうすぐ乗れるんだな」「早く乗りたいな」と気持ちが昂っていく、その感覚を、私は乗っている時よりもより覚えているなと思ったのです。
(そもそも、乗っている時は、爽快感と、若干の恐怖感が先に立ってしまいますし)
まさに、これは、飛行機に乗る前の、「どきどき」の演出ではありませんか!
絶叫系のアトラクションといったら、おそらくもっともっと怖いアトラクションは別の遊園地にたくさんあると思います。
ディズニーランドのアトラクションは、基本的に子供でも乗れるものが多いので(スペースマウンテンも身長制限はありますが、子供でも楽しめます)、そこまで恐怖に重点を置いていません。
だから、絶叫系が好きな人には物足りなく感じるのでないかと思います。
それでも、何度でも乗りたいな、行きたいなと思うのは、あの「どきどき」の感覚が忘れられないからだと思うのです。
そして、あの乗る前の「どきどき」の感覚で、乗っている時の楽しさが増幅されて感じられているのだと思います。
そう思うと、「演出力」というのはとっても大事なものだなと思うんです。
その細部まで作り込まれた演出のおかげで、私たちは、ディスニーランドを何倍もより楽しむことができる。
ただ乗り物に乗る、アトラクションを楽しむだけでない、プラスアルファで「どきどき」を味わえる。
これはどんな仕事にも日常生活にも(恋愛とか)応用できることだよなと思います。
コンテンツそのものだけではなく、コンテンツに至るまでの過程を盛り上げていく……私も仕事で学んでいかしていかないといけない部分です。
私も、これからもいろんな「演出」の仕方を学んで、「どきどき」を多くの人に提供していきたい。
そしてこれからもたくさんの「どきどき」を自分も体験していきたい。
そんな風に思います。
それにしても、飛行機での旅、楽しかったなー。
頻繁に海外旅行に行く方の気持ちがわかる気がしました。
当分、私も、飛行機の「どきどき」中毒になりそうです。
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