天狼院通信

はるかプロジェクト《天狼院通信》



【はるかプロジェクト】実は、僕は案外忙しいので、天狼院にいることは稀である。だから、はぐれメタルと呼ばれたりする。

今夜は、様々なアポを終えて、偶然にイベントもなかったので、外に出ずに、カウンターのところで仕事をこなしていた。

すると、ガラスの向こう、階下でこちらに手を振る女性の姿がある。彼女は昔からの知り合いで、金髪の可愛らしい女性を連れていた。

ふと、メッセージの文面を思い出す。

「天狼院書店に売り込みたい人物がおりましてご連絡させていただきました!」

あ、なるほど、彼女が僕に紹介したいという人か。

木村遥とその金髪の女性は名乗った。
たしか、彼女からも何かメッセージをもらっていたが、今日は忙しくて、それを開ける暇もなかった。

「で、何の話だっけ?」

覚えてなかったので、正直に言う。

前々からの知人から、彼女の正体が、明かされる。
いや、最初から、明かされていたんだろうけど、忙しくて、覚えていなかったのだ。

話を聞いているうちに、

「あ!」

と思わず、僕は声を上げる。

今日の朝、ちょうど「それ」について話していたのだ。
「それ」をどうにかしなければ、と店長の 山中 菜摘​と話していたのだ。

「それ」が、向こうから、やってきた。

天狼院では、こういうことがよく起きていて、スタッフのあいだでは「天狼院ミラクル」として認識されている。もはや、当たり前のように起きるので、

「あ、また、天狼院ミラクルね」

というような使い方をされる。

まさに、木村遥がこのタイミングで現れたのは、ミラクル以外のなにものでもなかった。
彼女は、会った瞬間に天狼院に欠かせない存在となった。

「それで、なんて呼ぼうか? 天狼院のスタッフは、自己申告制なんだよ。みんな、呼ばれたい名前を申告する」

「じゃあ、はるか、で」

「オッケー、はるか、ようこそ天狼院へ。はるかが、もしかして、天狼院の救世主になるかもしれない」

これから、天狼院の未来をうらなう「はるかプロジェクト」が本格的に始動します。

彼女が何者で、天狼院に何をもたらすのか。

徐々に明らかになっていくだろうと思います。

お楽しみに。

 

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2015-07-09 | Posted in 天狼院通信

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