チーム天狼院

【落下系】スペースマウンテンなら何十回でも乗れるけど、タワーオブテラーだけは勘弁して! 本当に!《東京スタッフまみこの単独出張レポート》


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ガラガラガラ、とキャリーケースをひいて、ブーツのヒールをならしながら空港を歩く。

まるでどっかの海外ドラマの主人公になったような気分でした。

 

いや、現実で私が誇らしげに登場したのは格安の国内線なんですけどね。
それにしたってもうね、胸が高鳴りっぱなしですよ!
なんていったって、人生初の一人旅なんですもん!

一人カラオケ、一人美術館なんかは結構普段から平気でやっている私ですが……あれ? 思い返せば21年間、単独で千葉・東京以外の土地に足を踏み入れるのって、もしかして初めてじゃない?

そう考えると興奮を抑えきれませんでした。

空港の待合ゾーンでコーヒーを飲み終えると、搭乗ゲートに向かいました。
なんだか遠足気分でウキウキしていた私はペットボトルのお水とポッキーを買い、搭乗時間になるとぞろぞろとできた列に並びました。
そして指定していた通路側の席を見つけると、バフッと腰掛けました。

隣の座席に女性が一人座っていたのですが、いま思うと彼女には申し訳ないことをしたな、と思います。

座席のポケットに差さっている緊急対応パンフレットを出したり戻したり、リュックをやたらとごそごそしたり、本をぱらっとめくったり閉じたり、窓の方をちらちら見たり、とにかくまぁ、落ち着きのない小娘が横にいる、と。

ああ、ごめんなさいねおねえさん……。きっと気持ちよく眠りたかったでしょうに……。

特にひどかったであろう時間が、おそらく離陸タイムですね。

私、飛行機が離陸する瞬間が大好きなんです。
ぐおーっ、ゴゴゴゴゴゴ……と機体が上昇する瞬間。
シートがおしりから自分の身体を押し上げてくるようなあの感覚が、たまらん!

私、めっちゃ昇っとるやんけーーー!!

普段は冷めているだのリアクションが薄いだのなんだと周りに言われている私も、このときばかりはテンション最高潮!
離陸中は楽しくて楽しくて、ずっとにんまりしてしまいました。
まぁ、終始一人なんですけどね。

一方で、着陸タイムはちょっぴり苦手です。
上がっていくときは全身ごっそり持ち上げられる気分なのですが、下がるときはなんと言いますか、身体の器と内臓が離れるような違和感に襲われるのです。

内臓が一瞬ふわっと浮くような、あの感覚。

思い出すだけで、ぞわわわわわわっ。

超絶気持ち悪い!
そういえば先日、大学の友人たちと就活が本格始動する前に皆でディズニーに行こうという話になりました。
幹事を名乗り出てくれた友達がLINEグループを作って、皆に問いかけました。

「ランドにする? シーにする?」

ディズニーランドに行くかディズニーシーに行くか。

正直、皆でわちゃわちゃ騒ぐことさえできればどっちでもいいという気持ちもありましたが、「私はどっちかっていえば、ランド派かなぁ……」と控えめにつぶやいてみました。

そうなんです。両者とも夢にあふれた素晴らしいテーマパークであることは間違いないのですが、どちらかといえば、たいてい私はディズニーランドの方を選んでしまいます。

理由はたったひとつ。

タワーオブテラーに乗れないから。

ーータワーオブテラー。

一度でもディズニーシーに行ったことのある方ならご存じでしょうか。

ディズニーランドにはスプラッシュマウンテン、スペースマウンテン、ビッグサンダーマウンテンという、「三大マウンテン」と呼ばれる3つの目玉アトラクションがあります。
私はこの中でも特にスペース・マウンテンが大好きです。ひたすら高速でびゅんびゅん、ぐわんぐわん。
上に昇ったり方向を変えたりしながら進み続けて、頬に風を感じるのがたまらなく爽快です!

対してディズニーシーの目玉といえば、パークのシンボルである火山内部を高速展開するセンターオブジアース、そしてタワーオブテラー、と誰もが口をそろえて答えることでしょう。

タワーオブテラーとは、一体どんなアトラクションなのか。
一言で説明するなら、いわゆる「落下系」です。

私は小学6年生のときに初めて挑戦して、完全にトラウマになりました。
アトラクションの前提のストーリーとしては、謎の失踪事件が起きたという呪われたホテルがどうたらこうたら……といったお話だったと思います。
ディズニーファンの方、すみません。じつは、あんまり覚えていないんです。
なんせ、失神しかけたので。

 

おっと。ここからは、まだタワーオブテラーに乗ったことがないという人はネタバレになりますので、その点、どうかご注意を……。

 

順番がくるとゲストはエレベーターという設定の部屋に誘導され、シートに座ります。
前半はまさにエレベーターのように部屋ごと垂直に昇りつつ、途中で何度か止まってはキャラクターがいろいろしゃべっているのを聞いてストーリーが進んでいくという流れになっているようでした。

そこまではよかったのです。
むしろ、ぐんぐん上がっていくのを楽しむ余裕すらありました。

問題はそこから。

エレベーターがタワーの頂上まで昇ると、窓が開くんです。

窓が開くと、前方は外の景色が広がっておりました。
あれれ、案外、いい眺めじゃん。

「お、綺麗~」とか、余裕ぶっこいていたのもつかの間……

ピッシャーン!!!!

緑の稲妻が光ったかと思ったら、落ちました。
そうです。エレベーターが突然、落ちやがりました。
なにがなんだか、わけがわかりませんでした。

……!? 内臓が、内臓が……!?

あの「超絶気持ち悪い」感覚を思いっきり味わってしまったのです。
しかもずいぶんドSなことに、あのアトラクション、落下を5~6回繰り返すらしく……。
やっとのことで地上に降り立ったころには、内臓も脳みそもひとしきりシェイクされた、気絶寸前のクニイマミコが完成していました。

あの日から、タワーオブテラーは私にとって、完全にトラウマになりました。

しかし私の希望とは裏腹に、大学の友人との企画は結局、多数決でディズニーシーに行くことに決定しました。
私は断固として「タワーオブテラーには乗らないからね」という条件を主張した上で参加する方向に落ち着きました。

 

じつは最近、私は毎日のように悩み続けていました。

大学3年生の冬。
周りは皆、就活モードに包まれ始めた時期。

あれ? 私って、将来について何にも考えてなかった……。

そのことにようやく気づいて、妙に焦って、自信を失って、自分が何だかわからなくなって、何がしたいのか、何のために頑張っているのか、まるでわからなくなってしまったのです。
勉強も、バイトも、そしてじつは、天狼院のお仕事でさえも。

しかし、今回久しぶりに飛行機に乗ってはしゃいでいるうちに、ポッと思い出したことがありました。

ああ、そうだった。
私は本来、「落ちる」ってことが、本当にキライなんだ。

それは決して、ジェットコースターに関してだけではない。
たとえばそれがテストの成績でも、受験でも、あるいは天狼院のメディアグランプリの順位でも。

私は本来、「高速」で「昇り」つづけていたい人間だったじゃないか。

テストで95点以上をとる。
受験で志望校合格を勝ち取る。
記事のアクセス数で、一位をとる。

そういうことに、燃えて燃えて。たとえ睡眠時間を削ってでも、のめりこんで、邁進して。
そういうことにこそ、「生きている」という実感を、震えるほどの喜びを感じる人間だったじゃないか。

思い出した。
これが、私だ。

焦ったり、難しく考えたりする必要なんてなかったんだ。

 

ようやく機内に到着のアナウンスが流れると、乗客は皆、頭上の棚からキャリーケースを降ろし始めました。私もまた、ぞろぞろと並ぶ降機の列に続きます。

なにしろ一人でしたから、特に誰が見ていたというわけではありません。

それでも、福岡空港の到着ゲートを出る瞬間……。
あの瞬間、私はきっと晴れ晴れとした表情をしていたに違いない。

憑き物がとれたように、もう私の頭の中はクリアーでした。

確信していたのです。

 

私は一生、タワーオブテラーを克服できなくたっていい。

だって私は、これからも……

 

「落ちる」ことになんか、慣れたくないから。

 

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