【三宅のはんなり出版レポvol.4】推薦文を書いてくださった有川浩先生への想いを綴ってみた。【私が『図書館戦争』を好きになった瞬間】
こんにちは! 京都スタッフ三宅です。
2017年9月29日に、本を出版します!
詳しくはこちらから。WEB天狼院の記事「京大院生の書店スタッフが「正直、これ読んだら人生狂っちゃうよね」と思う本ベスト20を選んでみた。 ≪リーディング・ハイ≫」から生まれた、
全200冊の本を紹介する書評本です!
読むと本屋に行きたくなる、本が読みたくなる、読書の秋にぴったりな本になってます。本の詳細はライツ社のホームページでご覧下さいませ!
出版裏話を語るシリーズ第四回。
今回は、帯を書いてくださった有川浩先生について。
昔から私は有川先生の大ファンで、とくに『図書館戦争』シリーズについてはほんとーに「図書館戦争は私の青春!!」って言い切れるくらい大大大好きなのですが(ほかの作品も大好きですけどね)。
三宅は何がそんなに好きなのか、と首を傾げられることもあるので、ちょっとここらで「私と図書館戦争(はぁと)」という超絶個人的な自分語りあるいはノロケ話をしよっかなーと思います。
ちなみに読み物として面白いか自信がないので、ちゃんとした「図書館戦争の書評」のほうはcakes連載▼京大院生が選んだ「人生を狂わす」名著50(図書館戦争の回は9月14日更新予定)か本で読んでもらえるとありがたいです……。
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あなたには、中二病、ってありましたか?
私にはありました。その名のとおり、中学二年生の時に感染したビョーキです。
きっと中二病にもいろんなタイプがあって、妄想に入り込んだり自分は特別だと思ったり大人に反抗したり、様々な症例があることと思うのですが。
私の場合は、「誰にも必要とされてないよな病」でした。
こう書くだけでちょっと顔がひきつるというか、マジ痛い記憶というか、「は、恥ずかしいぃぃ~~~」としゃがみこみそうになるのですが、まぁ出血過多をこらえてお話すると、中学二年生のとき、私は毎日がなんだかとってもしんどかったのです。
何がしんどいってわけでもないのです。いじめとか家庭崩壊とか病気とかその手のものは何もなく、普通に恵まれた毎日を過ごしていました。が、逆に「何もない」のが祟ったのか、まァ要は暇だったんでしょうね。部活に追われつつも、本を読んだり友達と長電話したりしながら、私は「でもここで私がいなくなっても、みんな泣きはするだろうけど、たぶん誰も致命傷にはならないよなぁ。あ、でもおばあちゃんは悲しんでくれそうだなぁ……」くらいに思っていました(いやーまごうことなく中二病ですね)。
誰かに必要とされたい、けど別に誰も必要とはしてこない、いてもいなくてもよさげな自分。
だからどうというわけじゃなくて、人生ってその程度のもんかなー、しんどいなー、くらいに思っていました。きっと代わりのきかない人とか、必要とされる才能とか、そういうもんに憧れてたんです。
しかし、私は一冊の本に出会います。
お察しのとおり、その本のタイトルは『図書館戦争』。
その本は、物語としてものすごく面白くて私の目をページから離さないとともに、第一巻の最後にこんなシーンを用意していました。
「……もし、」
あたしが辞めたら困りますか? そんなことを訊こうとした自分に焦る。必要だと言われたいとか甘えたことを何でよりにもよってこの人に思うのかあたしは。
そして堂上は気づかないでほしいと思ったことに限って気づく性格の悪さだ。
「お前が辞めても別に困らない。他の誰でもだ。替えが効かないと思ってても抜ければその穴は誰かで埋まるんだ」
言い放った堂上がしばらくしてから、「だが惜しくはなるかもな」と付け加えた。
畜生。それが嬉しい。
「辞めません。親にばれても大騒ぎされても絶対。あたしこの仕事好きだし」
自分より背の低い、だが大きな背中に宣言する。
「あたしはあんたを超えるんです。だから絶対辞めません」
お前定年来ても辞めないつもりか、と堂上は振り返らずに最大級の挑発を返した。(『図書館戦争』(有川浩・アスキーメディアワークス)より抜粋)
衝撃を受けたんですよね。
そうか、「必要だと言われたい」は甘えなのか……!!
私はこの本を何度も何度も読み返しつつ、思うようになりました。
「だれだって代わりはいるし、必要とされたいとかそもそも甘えである、それでも『惜しくはなるかもな』くらい言われたいなら、そう言ってもらえるくらいまで努力すべきなんだ」と。
きょ、極端じゃね? キミの思想、極端すぎねぇ? と今の私なら冷静にツッコミをいれるのですが(今は別に必要とされたいくらい願ってもいいでしょ、って思いますけどね……)、そこは中二病罹患者。そんなバランス感覚なんてあるはずもなく。
――必要とされたいなら努力しよう。
そう決心して、朝の部活へ向かって自転車を漕ぎ始めた景色を、私はいまだに覚えています。
誰も必要としてくれないだなんて泣いたり、ひとりで勝手に暗くなったり、そういうことは完全に甘えだし、そんなふうに甘えたくない。ちゃんと毎日明るく楽しそうにしてよう、人がいたら好かれるようにキャラを立てて必要としてもらおう、勉強なんてやらなきゃできないんだからちゃんとやってみよう、部活のみんなに必要としてもらえるくらい練習をがんばろう。
季節は、中学二年生の冬を終え、中学三年生の春を迎えようとしていた時でした。
私の人生というのは、あの中学三年生あたりが「第二幕(みたいなものがあるとすれば)」のはじまりだったなーと思っていて。誰しもターニングポイントというものはあるのでしょうが、私にとってはそれが『図書館戦争』を読んだタイミングだったのです。
さて、幸運にも、私が努力を始めたタイミングは遅くなくて、当時の環境にぴたりとうまくかみ合ってくれました。
部活ではいい仲間に恵まれコンクールではいい結果を残せたり、それまで全然たいしたことのなかった成績がさらりと上がったり、ひょいっと人生初の彼氏までできたりしました。気づけば、努力はどれも実っていたんですね。なんつーか、運がいいというか、タイミングがいいというか。お望み通り前よりも必要とされるようになったし、おお人生楽しいじゃん、と感じるようになっていました。
しかしその代わり、毎日が戦いでもありました。マジで。
根が怠惰なインドア人間にとって、毎朝七時過ぎくらいに部活へ行って自主練するのは体力的にきつかったし(若いからいいんですけどね)。いきなり成績が上がったことに対して、何枚にもわたってびっしり私の悪口が書かれた手紙を頂いたり(こえーよ)。人生初のお付き合いは「いやもう恋愛めんどくさすぎる、高校では絶対彼氏つくらねぇ」という決心を促すよーな体験だったりしました(察してくれ)。
そんなふうに「えっ、努力はいいけど、やっぱり人生つらくない!?」って思うたび、私は『図書館戦争』を読み返しました。
『図書館戦争』の中では、いろんな失敗やミスや犠牲を経ながらも、主人公たちが一歩一歩憧れや目の前のやるべきことに対して「頑張る」姿が描かれます。どんなに私が「つ、つらい……」と涙目になっているときも、本の中の主人公たちは甘えずに、時に組織の矛盾と戦いながら、戦っているのです。「やるべきことをやろう、あがけるだけあがこう」って唱えながら。
そのページをめくるたび、私も『図書館戦争』の主人公たちみたいに、ちゃんと頑張りたいな、と思いました。
嫌なことや疲れることがあった日の夜、私は決まって『図書館戦争』を精神安定剤のように開いていました。そして「よし、明日も頑張るぞ」って思って寝ていたのです。
あれからもう十年弱経って、必要とされたいだけじゃだめだよなぁとか、努力よりも素直でいるほうが大事だなぁとか、いろんなちょっとした方向転換はありましたが、それでも『図書館戦争』を読んで「がんばろう」と思ったことは、やっぱり私の原点です。
だからいまだに『図書館戦争』には頭が上がらなくて、あそこで出会えてよかったな、あんなふうに何度も何度も同じものを読むことってもう研究以外ではないかもしれないな、と思ったりするのです。
と、いうそんな私の恩人とも言える『図書館戦争』の作者、有川浩先生に、この度本の帯を書いてもらえることとなりました。
書いてもらえると知ったときはものすごく驚きましたし、感動しました。だって、あの『図書館戦争』の生みの親ですよ!? どゆこと!? そんなことあってもいいの!?
いまだに信じられません。神様ですからね……。
でも、信じられない気持ちと同時に、心のどこかで思うのです。
「おお、ちゃんと人生の伏線回収したよ……」って。
だってこれが物語だったら、やっぱり十四歳の時に憧れた神様には、十年後くらいに一度出てきてもらいたいところだなーって思うもの。傲慢だけど、物語ってそういうものでしょう!?
なんかこう、今回の件って、神様が「よく頑張ったね!」って言ってくれてるような気がする……! というのは完全に小説ばかり読みすぎた妄想脳の考えることなんですけど。
何はともあれ、有川先生、本当にありがとうございます。
こないだ友達と「いまだに堂上教官を超える男には出会えてない」「とりあえず私たちは榮倉奈々ちゃんになろう」と盛り上がりました。榮倉奈々ちゃんになるべく(嘘です)、これからも頑張ります。
そして先生の書いてくださった帯が、たくさんの人の本との出会いにつながってくれますように!
……ちなみに『図書館戦争』は、高校生の時に憧れた人を追っかけて主人公が図書館に就職して、戦いつつ、憧れが報われるお話、とも言えるんですよね。
「ってことはもはやこの展開、私なりの『図書館戦争』なのでは……!?」
なーんて言いたくなってしまうのは、私の中二病が治りきっていない証拠なんでしょうけど、ね。
☆cakesで▼京大院生が選んだ「人生を狂わす」名著50連載中!
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