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チーム天狼院

「足の小指」から、卒業する二年目《スタッフ平野の備忘録/「天狼院カフェSHIBUYA」オープニング・スタッフ募集》


記事:平野謙治(チーム天狼院)
 
まるで自分は、足の小指のようだなと思ったことがある。
あれは、入社して一ヶ月くらいの頃だっただろうか。
 
新卒で入った広告会社を一年ちょっとで辞め、天狼院のスタッフになった。環境が変わり、覚えることがたくさんある。知らず知らずのうちに、疲れを溜めていたのかもしれない。
あるいは、少しだけ慣れてきて、緊張の糸が途切れたのだろうか。僕は突然、熱を出した。
 
8月の、暑い日だったと思う。気温は高くて。頭も熱くて。それなのに身体は、凍えるように寒くて。すぐに風邪をひいたのだと、自覚した。体温計を刺したら、38度近い熱があった。
 
だけどその日は、出勤日。入ったばかりの自分にも、与えられた役割があった。休むわけにはいかないと思った。服を着替えて、家を出た。
 
……だけどやっぱり、なんだかフラフラする。明らかに普段通りじゃない。ひとつ目のイベントを終えた後、先輩にも不調を気づかれ、声をかけられた。
 
「平野くん、具合悪いの?」
 
僕は正直に言った。熱があると。でも今日はもう、なんとか乗り切るつもりだと伝えた。
 
「もう帰っていいよ」
 
即答する先輩。少し驚き、僕はたじろぐ。
 
「いや、でも……」
 
罪悪感から、首を縦に振れない。だけと続け様に先輩は、「大丈夫だから」とまっすぐこちらを見た。
その眼に、その言葉に、混じり気なんかひとつもなくて。安心させるために、無理して言っているわけではないのだと、すぐに理解することができた。
頭を下げて、僕は店を出た。優しさと、心強さを感じた。
同時に、悔しさも。
 
一年前の天狼院は、社員数がたったの11人。今よりも店舗数も少なくて、小さな組織だった。
誰がどう見ても、必要なのは即戦力だった。新入社員を管理下において、じっくり育てて
、少しずつ実践させて……などと言った余裕は、それほどにはなく。勝手に仕事を覚えて、主体的にバリバリ働く人材が、求められていたように思う。
 
僕だって、意気込んで転職してきたつもりだ。当然、即戦力になってやろうと思っていた。
だけどこの日、「帰っていいよ」と言われた。それは気遣いはあったにせよ、僕がいなくても特に問題ない、という宣告に他ならなかった。お盆の時期。忙しかったはずだ。それにも関わらず、だ。
入社して一ヶ月。まだ自分は、戦力になれていないのだなと、痛感させられた瞬間だった。
 
足の小指のようだな。ふらふらと、駅まで歩きながらそんなことを思った。
足の小指は、このまま人類が進化を続けると無くなるかもしれないという。生きていくのに、不必要だから。次第に無くなっていくだろうと、聞いたことがある。
 
あってもなくても、変わらない存在。天狼院という組織が、仮にひとりの人間だったとしたら、今の自分はまるで足の小指のようだな。熱でぼーっとする頭で、そんなことを考えた。
 
同時に思った。このままじゃいけない。
必要な存在になりたい。組織の血肉になりたい。
さっさと治して、人の役に立つために頑張ろうと。心から、そう思ったんだ。
 
それからの日々は、どうだっただろう。
思い描いた通りの未来に、なっているだろうか。
 
……
 
……
 
……
 
……いや、なっていない。どう考えても、「思った通り」になんて、なっていない。
だって、全く予想できなかった。これほど多くのことを、経験させてもらえるなんて。そう言い切れるほどに、たった一年の間に様々なことがあった。
 
書店員をした。カフェ店員をした。イベントスタッフをした。様々なゼミの運営をした。
ライターとして、たくさんの文章を発表した。編集者として、様々な文章を見てきた。
 
新店舗の立ち上げに携わった。新しいお店が出来ていくのを、目の当たりにした。
演劇のスタッフになった。感動的な本番を迎えることができた。
旅行業にも携わった。旅部のスタッフとして、石川県の加賀屋に行った。
 
放送スタッフもした。MCとして、何度も出演をした。気づけばYouTuberになっていた。
テレビの取材も受けた。テレビ朝日で放送された。
なんだか最近、農業まで始まった。茨城の農園から、生放送を行った。
 
これらすべて。ひとつひとつが、一年前は想像すらできなかったこと。
慌ただしく駆け抜けてきた中で、いろいろなことをやってきた。
 
そして今日、2020年7月16日をもって、入社して一年が経過した。
毎日、毎週があっという間に過ぎていく。だけど一年前というと遥か昔のように感じられて。天狼院に出逢う前の自分がどんなだったか、もう上手く思い出せない。
 
「平野くんが入ってから、もう三年くらい経っている気がする」
 
先輩社員に、そんなことを言われた。僕も同じように感じる。それくらい、忙しく、充実した時間を過ごしてきた。
 
そして今、二年目を迎えて、思うこと。
それは、熱を出したあの日と変わらない。
 
人の役に立ちたい。
必要な存在になりたい。
組織の血肉になりたい。
 
あの頃に比べて、できることは遥かに増えた。でもまだまだ、満足できたものではない。
コンセプトは変わらない。もっと成長して、人の役に立てるように。二年目も、同じ志のもとで駆け抜けていく。
 
誓うと同時に、想像を巡らす。
一年後の今頃は、どうなっているだろうか。
 
未来を思い浮かべること。それ自体に意味なんてない。
思った通りになる、なんてことは絶対にないから。そんなことは、わかっている。それでも僕は、想像する。
 
今いる仲間はもちろん。これから合流する新たなスタッフや、協力してくださる方々、周囲の人々、みんなが、笑えていたらいい。
利用してくださるお客様、ひとりひとりに、「天狼院に来て良かった」と思って欲しい。
 
漠然と思い描く。そんな未来を手繰り寄せるために、今日から始まる天狼院での二年目。
自分らしく、歩いていけたらいい。
 
 

◽︎平野謙治(チーム天狼院)
東京天狼院スタッフ。
1995年生まれ25歳。千葉県出身。
早稲田大学卒業後、広告会社に入社。2年目に退職し、2019年7月から天狼院スタッフに転身。
2019年2月開講のライティング・ゼミを受講。
青年の悩みや憂いを主題とし、16週間で15作品がメディアグランプリに掲載される。
同年6月から、 READING LIFE編集部ライターズ倶楽部所属。
初回投稿作品『退屈という毒に対する特効薬』で、週刊READING LIFEデビューを果たす。
メディアグランプリ33rd Season, 34th Season総合優勝。
『なんとなく大人になってしまった、何もない僕たちへ。』など、累計4作品でメディアグランプリ週間1位を獲得。

 
 

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