かつて就活生だった、今就活生の、これから就活生となるチーム天狼院のメンバーへ《天狼院通信》
今僕は、企業の経営者として、就職活動はどうあるべきかを考えている。
なにぶん、僕は就職活動をたったの一度もしたことがなく、正社員としての社会人経験も皆無であるから、そもそもこれからいうことに対して、何ら説得力を担保できるわけではないが、君たちに対して、ひとつ、堂々と言えることがある。
僕は、実際に、君たちとともにビジネスの最前線で戦ったことのある、戦友だからだ。
その未完成さによって時折足元を掬われ、また、その素晴らしい働きによって、幾度となく窮地を救われてきた。
僕は、君たちの戦いぶりをよく知っている。
君たちの弱点も、優位点も、尽くを知っている。
たとえば、君たちが不本意な「空気」によって、両親や家族に対する「優しさ」によって、あるいは「意地」によって、同じ格好をさせられて、パイプ椅子に座らされ、小さな枠に自らを文字で証明しなくてはならず、自分を知ってもらえずに、不採用となったとしても、君たちの価値は少しも損なわれないということを、この僕が証明しよう。
僕はこれまで様々な人を見てきている。
著者のエージェントとして、多くの優れた著者の方を側で見てきたし、トップのクリエーターたちも、業界のトップランナーとして疾走している人たちも一緒に仕事をしてつぶさに見てきている。
また、前にいた書店では3年間店長をして、およそ50人のスタッフを面接してきたし、今、天狼院書店の店主として、多くの人の面接をしている。
正直告白してしまうと、かなりの若い人を見てきた僕でさえも、君たちが戦場でそれほどに活躍してくれるとは、当初予想ができなかった。
正直、見くびっていた。それだけのポテンシャルを秘めていたとは、とても1時間や2時間での面接では判断できなかった。
実際に、戦場で一緒に戦ってみて、今、僕は君たちの真価を知っている。
それは、実際に、背中を守ってもらい、極限状態をともに突破してきたからだ。
これは確信を持って言えることだが、就職活動というものを客観的に見てみるに、僕以上に、君たちのポテンシャルを知り得るはずがない。
システムの限界で、その「真価」をほとんど見られることがなく、表層に現れやすい価値のみで判断されるきらいがある。
ゆえに、たとえ、落とされたとしても、何ら気にすることはない。
君たちの価値は、それによって1ミリたりとも損なわれるものではない。
考えてもみてほしい。
そもそも君たちを落とした会社は、本当に、君たちがどうしてもやりたいことをやっている会社だろうか?
惚れに惚れぬいて、どうしても働きたい会社だろうか?
天狼院よりも、面白いと言えるだろうか。
10年後、天狼院より、面白く安定的だと本当に言えるだろうか。
親がどう考えるかではなく、本当にそこは自分自身が入りたい会社だろうか。
もし、一度は社会で揉まれたほうがいい、とか、鍛えられたほうがいい、とか、もっともらしい迷信を言われたとしたら、僕のことを思い出して欲しい。
僕は社会人の経験がなくとも、しっかりと生きている。
しっかりとビジネスをしている。
トップと言われている人たちとも対等に渡り合っている。
何も、大企業ばかりが生き方を教えてくれるわけではない。
逆に、天狼院では大企業では教えることができない、本当に意味での生き延び方を教えることができる。
いや、すでに、君たちはそれを見てきているし、実際にそれを実践しているはずだ。
もっとも、小さな小さな天狼院は、これからどうなるともわからない。
嵐の前で、木っ端微塵に吹き飛ぶかもしれない。
しかし、大きな会社がそうならないと、誰が言えるだろうか。
天狼院が小さいままだと誰が言い切れるだろう。
かつて就活生だった、今就活生の、これから就活生となるチーム天狼院のメンバーへ、僕から言いたいことがある。
君たちの価値は、僕が一番よく知っている。
たとえ、他の会社に行くにせよ、様々な企業に挑むにせよ、他で活躍するにせよ、天狼院に戻るにせよ、そのことだけは覚えておいてほしい。
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