玉子焼きもライティングも繰り返せば上手くなる
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:赤羽かなえ(ライティング・ゼミ4月コース)
うわー、焼けた……!
焼きたての玉子焼きがホカホカと湯気を立てている。
ようやく普通の玉子焼きができた。私は、心底嬉しくなってついガッツポーズをしてしまった。横で、料理の先生が「大げさね」と笑っていた。
でも、私にとっては快挙だった。教えてもらうまで玉子焼きが焼けなかったのだから。
主婦歴15年以上、玉子焼きが焼けないなんて、正直恥ずかしくて口に出せなかったし、仮にそう言ったとしても誰にも信じてもらえなかった。なぜなら、私は、料理系の講座を開いていて、料理が得意だというイメージがついていたのだ。
玉子焼きは子どもの頃母が作ってくれたお弁当にも、友達のお弁当にも入っていた王道のおかずなんじゃないかと思う。家庭によって甘かったり、だし巻きだったりするけれど、あの黄色が色鮮やかでの独特なフォルムは、今でもおかずの中心に鎮座していることが多い。
誰のお弁当にもはいっているおかずなんだから、玉子焼きなんてとても簡単に作れるに違いない。ずっとそう思っていたのに、見事に敗北したのは、今から5,6年前、長男がお弁当を持って幼稚園に通うようになった頃だ。
すぐにできると思い込んでいたので、母が作っていた記憶をたどりながら初めてトライした時には大いに戸惑った。どうしてくっついてあの玉子焼きの形になるのだろう? 私が玉子焼きをつくると、クレープみたいにシート状になって、無理やり巻いてもなにかでおさえないとぴろーんと開いてしまう。仕方がないから、どうにかこうにか丸めてキャラクターのピックでさし、いかにも子供ウケするでしょ、というテイでごまかしてきた。
みんなのお弁当に当たり前のように収まっているものがつくれない。何回トライしても失敗するからいつしか玉子焼きを作るのを避けるようになっていた。
玉子焼きなんてできるのが当たり前と思い込んでいたから、動画で調べることもしなかった。そのまま作ることから逃げてしまった。
ひょんなことから作り方を知ったのは、とある料理教室に通っていた時。普段は上級者向けの茶懐石を作るコースなのだけど、たまたま行楽弁当を作ろうというテーマで出汁巻き卵を作ることになったのだ。
デモンストレーションをしてくれる先生のやり方を、真剣に見ていて気づいた。
自分が失敗する理由がようやくわかった。
そして、コツを教えてもらったら、あんなに何年も悩んでいたのが嘘のように玉子焼きが焼けるようになったのだ。
作り方を知ってからも、上手く焼けるようになるまでには結構時間がかかった。卵を何個使うのか、どんなフライパンを使うのか、火加減や油を入れる量やタイミング、卵液を入れる時、巻いていくとき……それぞれ慣れるまで何度も何度も失敗しながら作ってようやく納得がいくものが焼けるようになった。
ある朝、いつものように玉子焼きを巻きながら、これって、ライティングにも通じるものがあるなあと思った。
「書く」ということも、玉子焼きを焼くことも、ほとんどの人が当たり前に出来そうなものだけれど、実はちゃんとコツが存在していて、その通りに意識してやっていくと、上手くいく。
でも、コツがわかったからと言って、すぐに書けるわけではない、色んなネタ集めをして、何度も書いてみて、初めてコツが身についているという実感がわいてくる。玉子焼きも全く同じだ。
最初のうちは、ちゃんとまとまって形になっただけでも嬉しい。けれど、そのうちに、見た目も意識して、食べる人に美味しく食べてもらって……ということにまで気を配れるようになる。
書くことも、最初のうちは、既定の文字数を書き上げるだけで精いっぱいだけれど、何度も何度も書くうちに、読んでもらった人に共感したと言ってもらえるようになる。
そうやっていい反応がもらえるとまた、次も頑張ろう、と思える。
天狼院書店のライティングゼミは、書くために意識すべきことを講義形式で教えてもらえるだけでなく、毎週の課題で出した文章をフィードバックしてもらえるから、うまくいかなかったときにどこに気をつければいいのか、というのがわかる。
そうやって、習ったことへの理解を深めながら、何度も何度も繰り返して書く練習をすることで2000字レベルの文章を最後まで読んでもらえるスキルが身につくのだ。
ライティングゼミを始めた時に、4か月間で終わるつもりだったのが、かれこれ3年近くずっとライティングを続けている。それは、同じように書いているつもりでも、自分の中でより上手になりたいという思いがどんどん大きくなっていくからなのかもしれない。
だから、今日も私は、玉子焼きもライティングも、より上手くなれるようにと思ってまっさらな状態から挑戦するのだ。
でも、満足するものが出来上がっても、玉子焼きを冷ましていてうっかりお弁当に入れ忘れてしまうこともあって、苦笑いすることもある。
玉子焼きもライティングゼミの課題も、くれぐれも出さないと意味がないので、ぜひお忘れなく。
***
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